いきて、いく 3/4

 20年前に建てた二階建ての小さな我が家のお隣にまもなく90歳になるおばあさんが住んでいる。ここに越してきたときから大きな戸建てに独りだ。広い庭も自身できれいに手入れしている。

 運転免許がないため日常の買い物へは歩いて行く。

 「タクシー?あたしゃぁそんなものには絶対に乗らない!」となぜだか息巻く。

 近くのスーパーまでは1㎞ほどだろうか。道中何度も立ち止まっては曲がった腰に手を当て小休止をとっている。見かけたときは自家用車で送迎をするようにしている。

 あるときシニアカーを勧めてみようとパンフレットを手渡したが中身を見もせずに突っ返された。「そんな年寄りじみたこと、カッコ悪くてしたくない」そうである。

 いらぬ気概だとおもったこともあったが、はたしてそうだろうか。

 自動運転機能付きのSUVに乗っているのがなんだか情けない。